[11冊目]
一生を懸ける
『廉太郎ノオト』

秋の風が気持ちよくなってきて涼しくなってきた分、冬の寒さを思い出して、少し身震いしてしまう季節になってきました。

僕はというと忙しさにかまけて読書を放置してしまってました。

そのことを、師匠に正直に申すと、

「こんなに仲間がいるのに、読書できないのか?」

と問いを立てられて、心に突き刺さりました。

くそう、今月はもうちょっと読もう。

さて、センジュ出版の吉満さんと、読書のススメの小川さんが開催する「読書てらこや」の課題本のうち、一冊目です。

著者:谷津矢車

今月、読書を置き去りに家庭教師の仕事をしまくっていたのですが、

この本には、めちゃくちゃ引き込まれてしまいました。

そして、「廉太郎ノオト」には、読書で久しぶりに泣かされました。

読み進めていけばいくほど、廉太郎の魅力のとりこになってしまい、最後の方は号泣しました。廉太郎の命という火が、徐々に小さくなっていくのが、寂しくて寂しくてたまらなくなりました。もっと廉太郎を見ていたいと思いました。

それでも、すでに亡くなっている方。終わりの時は来てしまいました。

彼は音楽は「己の一生を懸ける価値がある」と作中でいいます。

その時に、僕はどうだろう?何かあるか?

と感じました。言えるのは「まだない」ということです。

もしかしたら、今後の人生の中で、見つけるかもしれないし、見つけないかもしれない。どうかわからないのですが、この本を読んだ後には、「探していこう」と思っていました。

この本に惹かれたところとしては、魅力ある廉太郎の師たちの存在でした。

哲学者兼音楽家の、ケーベル先生。

当時の日本音楽界をけん引する、幸田延先生。

廉太郎はいろいろな師の言葉から、思考を繰り返し、少しずつ前に進んでいきます。その時の思考の深さは、ときにとても深くなります。自分の中に眠る隠れた思いに気づくほど。

ここで、幸田延先生の言葉を少しばかり紹介させていただきます。

心に響いた言葉

ケーベル先生の言葉で背骨を作れ。

幸田延 著者:谷津矢車

背骨をつくる!?と最初は思いましたが、とてもいい言葉で気に入りました。

僕もそんな先生になりたいと思いました。

ものを教えるのは、自分の声の届かない生徒を許すことでもあるから。

幸田延 著者:谷津矢車

これは、家庭教師をしていて気をつけなければいけないと思いました。

この言葉は最近教えている生徒の前でその生徒を許容できずに、相手を変えようとする自分勝手な自分がいたことに気づかせてくれました。

この言葉は自分自身への戒めもこめて、ここに記しておきます。

この本は、小説ということもあって、すごくおすすめしたいと思いました。

音楽の世界がとても魅力的に思えますし、廉太郎の濃密な人生を見て、なにか感じることがあると思います!

ぜひぜひご一読ください!!

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