完全に冬の風になってきましたね。
以前、妻のお父さんの畑を手伝っだ際に、印象深い出来事がありました。それは冬の風はかなり、強いということ。寒さから守るために、ビニルを春菊やほうれん草や小松菜などに、被せるのですが、この被せた後に、しっかり紐でくくっておかないと冬の風にビニルが飛ばされてしまう。
お父さんは何度も飛ばされた経験から、かなり入念に、紐をくくったりしています。ビニルを被せる途中に、少し広げて、それが風にあおられると人間の力ではどうにもできないほどの力で引っ張られるのです。
これ自体も印象深かったのですが、なによりも、自分が25年近く生きてきて、ほぼ毎年くる、「冬の風」のことをそこまで意識していなかったこと。
それほどまでに、今は、自然というものが普段の生活から遠くなっていて、自然を感じる五感の能力をおきざりにしているのかもしれません。
さあ、読書てらこやの2冊の課題本のうち、2冊目。読書のすすめの素敵なスタッフ、小川貴史さんが選んだ本です。
著者:小川和也
この本は、タイトルをみるに、心について書いてありそうな本という印象でした。
しかし、実際は、テクノロジーの話が多くでてきました。
本を読むうちに、この人は、テクノロジーは便利だけど、冷たい部分もあるという側面をよく知っているからこそ、それに対して人間はどうあるべきかを考えて、
あたたかくあることが未来が明るくあるために必要だと感じたのではないかと思った。
そう思って読むと、この人のあたたかさに対する考えはあたたかいというものだけを単純に考えたよりも、より深いものになっているのではないかと思った。
この人は冷たさも知った上で、あたたかさにたどり着いた。
そんな人が書いた本、なんかあたたかいなと読んでいる途中に思った。
印象に残った言葉
便利さは癖に、癖は中毒になった。書物はある種の閉じた世界で、読みながら想像に「間」を与え、思考の機会となる。インターネット上の情報は、更新とリンクが無限の広がりをもたらし、「間」を吸い尽くす。
未来のためのあたたかい思考法 著者:小川和也
たしかにと納得した言葉。スマホで何かを調べた際に出てくる情報は、その情報だけではない。それ以外に、今自分が欲しいものなどを予測して私ようにとりつくろわれた広告なども目に入ってくる。そんな情報に自分は、「ちょっと見てみようかな」と思わされる時もある。
ものすごく情報に対して受け身的な自分がいる。そういうときこそ、本来の人間が持つ力、あたたかさにつながる「間」がまさに吸い尽くされているときなのだろうと感じた。
あー怖い怖い。
もしかしたら、道具というよりも思考の一部として思考に介在し、思考を増幅させる「思考パートナー」になりつつあるのかもしれませんね。ここまでが思考、ここまでがコンピュータという境界線がはっきりした分業という感じでもなく。
未来のためのあたたかい思考法 著者:小川和也
思考パートナーという言葉がいいなと感じた。
これは建築家の隈研吾さんと、著者の小川さんとの対談がこの本の途中に載っており、その中で、上記のような言葉が小川さんの口からでている。
まさに、これからのテクノロジーとの付き合い方として、理想的な言葉だなと強く思ったので、取り上げさせてもらいました。
「AIに仕事は奪われる。」、おそらく誰もが耳にした言葉。
これにより、機械と人で分業するというイメージが自分の中に勝手に作り上げられていたが、こういう考え方があるのだと驚かされた。
隈さんが建築した、「V&A Dundee」というスコットランドの国際デザインセンターが紹介されていたので、画像を調べてみました。
どうやら、こんな複雑な曲線を人間だけでは耐久性などを計算するのはかなり厳しいという事らしいです。機械の計算能力と人間の想像力が合わさってできた建築物は僕の想像力を超えて美しかったので、こちらにもリンク貼っておきます。
https://www.vam.ac.uk/dundee/info/our-building
僕がこうやってブログができるのも、いろいろなテクノロジーのおかげだというのも、「思考パートナー」という言葉を見てから、感じることができました。
自分がしらない世界を知るというのはなかなか楽しい。
今日はこれぐらいにしておきます。
僕はこちらの素敵な本屋さんから購入しています。