[22冊目]
なんかいい。
『ハイツひなげし』

著者:古川 誠

ぼくはあの感動を忘れられない。

もちろん本を読んで、その後自分の中を駆け巡る心地よさもそうなのだけど、

何よりもいつも参加する勉強会で、著者の古川さんをゲストに招いた時のこと。

その時の感動が忘れられない。

センジュ出版を応援する、1人の応援者Aさんから勉強会が始まり、その勉強会でその場の誰よりもこの本を愛するSさんが出てきて、

その愛に心を動かされた人たちの協力で勉強会の場が整い、素晴らしい場を多くの人が共有した。

各々が好きなように思うことを伝えて、対話する。

僕がいずれ開催する会も、必ずこういう会にしていきたい!

僕は参加者に過ぎなかったのだけど、この会が出来上がっていく過程を近くで見させていただいていたので、

言葉では言い表せないけど、とてもとても、嬉しかった。

実は僕がこの本を手にした一番の理由は、この本を愛するSさんの想いに触れたからだ。

とても熱く、嬉しそうにこの本のことを語るSさんの心が僕の心に届いたからに他ならない。

「もはやSさんの本じゃあないかな笑」と自分の中で笑いながらこの本の序盤のページをめくったと思う。

ここから本題です。

この本は「ハイツひなげし」というアパートとそこに住む10人を描いた物語です。

そう聞くと、どこにでもあるような話しなのですが、

意外とこれが本当に、どこにでもあるような話だと僕は思います。

しかし、それが僕の心にいつのまにか入り込んできて、夢中にさせたような気がします。

どこにでもある話とは言いましたが、不思議なおじさんがいるという点では、どこにでもないような話にも思います。

「え?どっちなの?どこにでもあるの?どこにでもないの?」と思う方はぜひ読んでみてください!

僕がこう言っている意味がわかるかもしれませんし、わからないかもしれません笑

奇跡のようなことが起こるエピソードもあれば、世の中の冷たさの中で暖かさを感じるエピソードもあったり。

いろいろなエピソードがあってとても良かったです。

そして特にいいなと思ったのは、各エピソードの最後。「終わり方」がとてもいいです。

暖かいような気持ちか、「うふふ」って気持ちか、励まされているような気持ちか、「うわぁ」ていう感動の気持ちか、どれかよくわからないけど、

各エピソードを読み終える度に、僕は少し顔を上に向けて嬉しい気待ちで、息を吐き出していたのを思い出せる。

そんな終わり方です。

加えてこの本の魅力は不思議なおじさんだと思います。

このおじさんは小田島という名前で、登場するのは少しなのですが、この本といえば、この小田島さんという感じがします。

住人になんらかの形で関わっているのですが、嫌味がなく、ホッとしてしまうような、近すぎず、遠すぎずというぐらいで居てくれる。うーん、でもこの小田島さんのことを書こうとしても、本当に言語化できない笑

なので、小田島さんは「なんかいい。」が今の僕にできる表現です。

印象に残っている言葉

わたしは小田島さんがいてくれてよかったと思う。引っ越しの運転をしてくれたとか、猫の世話をしてくれるとか、そういう実際的なことじゃなくて、存在として、今ここに小田島さんがいてくれることが嬉しいと思う。この世界に小田島さんが生きていることが嬉しいと思う。

ハイツひなげし  葛西沙織 著者:古川誠

このように登場人物のひとりが感じるシーンがあるのですが、こんな思いを人に抱かせる、小田島さんに正直しびれました。

僕もそんな家庭教師になりたいと思いました。

文章を引用させていただくことでようやく、小田島さんの魅力を少しお伝えできたと思うけど、これは氷山の一角だと思います笑

ぜひ、みなさんがこの本を読んでみて、僕が言語化できないことを感じて欲しいです。

この本に書かれている正解でも不正解でもない何かをあなた自身が感じ取ってくださるのを、著者の古川さんも、編集者の吉満さんも、おそらくこの本を読んで応援者にいつのまにかなっている読者も、望んでいると思います。個人的に僕はそう思っています。

おすすめの一冊です。

この出版元であるセンジュ出版を応援している素敵な本屋さんです。

https://dokusume.shop-pro.jp/

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